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近江神宮 かるた祭 かるた開きの儀 『秋の田の・・・は埋葬されないわが身を嘆く歌だった?』

2016.01.13

近江神宮 かるた祭 かるた開きの儀 『秋の田の・・・は埋葬されないわが身を嘆く歌だった?』 はコメントを受け付けていません。

滋賀県大津市 近江神宮
かるた祭 ・かるた開きの儀・・・平成28年1月10日 http://oumijingu.org/publics/index/127/

近江神宮には少し早く着きすぎてしまい、かるた祭が始まるまでにはかなり時間があったのですが
神職さんが神座殿まで案内してくださり、暖房も入れてくださったので待ち時間を暖かく過ごすことができました。
ありがとうございました!

近江神宮 かるた祭

近江神宮の御祭神は天命開別大神(あめみことひらかすわけのおおかみ)です。
天命開別大神というのは中大兄皇子(第38代天智天皇)のことです。

鎌倉時代に藤原定家が選集した小倉百人一首には百首の歌にそれぞれ1~100までの番号が振られています。
小倉百人一首の1番の歌は天智天皇が詠まれた「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」という歌です。

そういったところから、近江神宮では1月にかるた祭が行われています。

采女装束の姫たちはスローモーションのようにゆっくりと、そして優雅に腕を伸ばして札をとっていきます。

近江神宮 かるた祭2

天智天皇は飛鳥時代の人物で、万葉集に4首の歌が残されています。
でも「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 梅雨にぬれつつ」という歌は万葉集にはありません。
この歌は958年ごろに成立した後撰和歌集の中に天智天皇御製として掲載されています。

万葉集には「秋田刈る 仮庵を作り わが居れば 衣手寒く 露そ置きにける」という読人知らずの歌が掲載されており
その内容から農民が詠んだ歌だと考えられています。

「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 梅雨にぬれつつ」という歌は「秋田刈る 仮庵を作り わが居れば 衣手寒く 露そ置きにける」を改作したものであり、
実際に天智天皇が詠んだ歌ではないのですが、天智天皇の心を表す歌であるとして後撰和歌集の撰者たちが天智天皇御作として後撰集に掲載したものと考えられています。

なぜ「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 梅雨にぬれつつ」という歌は、天智天皇の心を表す歌であると考えられてたのでしょうか?

一般には次のように考えられています。
心優しい天智天皇が、農民の気持ちになってそのつらさを読んだと考えるにふさわしい歌であるためだと。

近江神宮 かるた祭3

でも私の考えはこれとは違います。
「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 梅雨にぬれつつ」
後撰和歌集の撰者たちはこの歌を「死んだ天智天皇の霊が、埋葬されないわが身を嘆く歌」であると考えたのではないでしょうか。

672年、天智天皇が崩御したあとすぐに、壬申の乱がおこりました。
天智天皇の皇子の大友皇子と、天智天皇の同母弟の大海人皇子が皇位をめぐって争ったのです。
そのため、天智天皇の死体は長い間埋葬されず、放置されていたと考えられています。
『続日本紀』に天智陵が造営されたと記されているのは、天智天皇が崩御してから28年たった699年なのです。

古事記によると、大国主神が国譲りして、「八十青柴垣(ヤソクマデ)に隠りましき」とあります。
これは大国主神が風葬された様子を記したもので、古には柴を沢山立てた中に死体を葬る風葬の習慣があったと考えられています。

また万葉集に次のような歌があります。

荒磯面に いほりてみれば 波の音の 繁き浜辺を しきたえの 枕になして 荒床に 自伏す君が(柿本人麻呂)
(荒磯の上に仮小屋を作ってみると、波の音が頻繁に聞こえる浜辺を枕として荒々しい岩の床に伏している人がいる)

荒床とは、風葬するときに死体の下に敷くむしろのことなのだそうです。
すると「荒磯の上につくったいほり(仮小屋)」とは風葬するときに死体を安置する建物のことなのではないでしょうか。

天智天皇の時代、天皇は一定期間、殯宮に安置されるのが一般的でした。
でも壬申の乱がおこったために、天智天皇には殯宮さえ作られなかったのかもしれません。
天智天皇の死体は一般庶民が風葬されるのと同じような状態になっていたのではないでしょうか。

つまり
「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 梅雨にぬれつつ」
この歌の「かりほの庵」とは風葬するときに死体を安置する粗末な建物であり、あまりに粗末であるため雨漏りがして死体がぐっしょりと濡れていると、死んだ天智天皇の霊が嘆いている歌であると
後撰集の撰者たちは考えたのではないかと私は思います。

壬申の乱では、大海人皇子が勝利して即位し(天武天皇)、追い詰められた大友皇子は自害して果てました。
そのため大友皇子の父・天智天皇は反逆者の父であるとして長年埋葬されることもなく、放置されていたのかも?


こちらの記事も読みいただけると嬉しいです♪→ 藤原京跡 コスモス 蓮 『持統天皇の歌の謎が解けた!』 



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